睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

睡眠中に呼吸が10秒以上停止している状態を睡眠時無呼吸と呼び、ほとんどの場合にはいびきを伴います。睡眠の精密検査で、呼吸が止まったり、浅くなったりする回数(無呼吸低呼吸指数;AHI)が1時間に5回以上認めると睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
一部には脳や心臓の病気が原因で起こるタイプ(中枢型)もありますが、ほとんどの場合は上気道(吸気・呼気の通路)が狭いことで起こるタイプ(閉塞型)です。睡眠中に反復して呼吸が停止すると、身体中の酸素量が減り、心臓や血管に負担が生じます。また呼吸のために脳が目覚めることで深い睡眠を得られず、身体全体に大きな負担がかかります。
その結果として、下記のような様々な症状が生じます。放置した場合、突然死(心筋梗塞、脳卒中)や認知症のリスクが高くなるといわれています。
検査
睡眠中の身体の状態を調べる睡眠検査を行い、重症度を調べます。
簡易睡眠検査(アプノモニター)
鼻や手の指先にセンサーをつけた状態で眠っていただき、睡眠中のいびきや呼吸の状態を検査するもので、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査を行います。ご自宅で検査を受けていただくことが可能です。
精密睡眠検査(ポリソムノグラフィー)
簡易睡眠検査で軽症・中等症と診断された場合に受けて頂くことが可能です。身体に様々なセンサー(脳波、心電図、筋電図、胸部・腹部の運動モニターなど)をつけた状態で眠っていただき、簡易睡眠検査よりもさらに詳細に睡眠中の状態を調べる検査です。通常、専門の医療機関に入院して行いますが、当院ではご自宅で検査を受けていただくことが可能です。
治療
いびき治療において、診断確定後、まず生活習慣の改善をしていただきます。
一般的な対策のみで改善を認めない場合、CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸)療法をおこないます。これは睡眠時に鼻にマスクをあて、一定の圧が加わった空気が送られてくることで、気道を閉塞しにくくする治療です。
ご自宅に機器を設置し、月1回通院していただき、使用状況や効果などをチェックしていきます。治療効果が認められた場合は治療を継続していただきます。
こんな症状の人は要注意
下記の項目のうち、1つでも当てはまることがあれば睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
- ほぼ毎日いびきをかくと家族などから指摘をされる。
- 寝ている間に呼吸が止まっていると家族などから指摘をされる。
- よく首を絞められたような窒息感で目覚めることがある。
- 夜中に2回以上トイレで起きる。
- 睡眠時間を十分にとっているが体がだるい、頭痛を伴う場合もある。
- 日中に眠気が強く、起きていることが辛く感じることがある。
- 血圧が高い。
- 肥満である(太っている)。
- 車の運転中や会議中に突然眠くなることがある。
いかがでしたでしょうか。いびきをかいている状態を放っておくと日常の生活に支障をきたすほか、心筋梗塞や脳卒中、認知症のリスクも高まります。いびき治療は早期の対策が重要です。気になる症状があれば一度ご相談ください。